北朝鮮の変化に付いて。

昨年から今年の年初にかけて、やたらとミサイル発射実験や水爆実験等を行っていた北朝鮮が
平昌五輪の開催直前の頃から様子を一変させ
南北会談と米朝会談を示唆し、更には朝鮮戦争の終結を謳う話まで持ち出している。
ここ最近の様子に妙な違和感を抱いている人たちは多く居ると思う。

この背景に付いて少し書いてみる。
まず、朝鮮半島は経済戦略という物から程遠い地理的条件が有る事を知っておかねばならない。
その理由は、西と北は中国に押えられ、東は日本に押さえられているので
西と北の陸上の通商ルートは常に隣国と接し中国に全て管理されている。
東は遠洋を得られないのでタンカーも必ず日本海を通らなければならない。
つまり八方塞で外界と遮断されているような地理的条件を持っている事になる。

さて、この状況は戦前より知られた条件なのだが、
その狭い朝鮮半島では戦前よりはるか前から氏族間の骨肉の争いが有り、
その典型的な結果として朝鮮戦争が勃発し南北に分裂した。
(今回、分裂に関する問題点については割愛する。)

本題としては北朝鮮がなぜ軟化姿勢を見せ始めたのか?であろう。
およそ国内統治は強権圧力により全てが封殺されているので自由は存在しない上に
産業も全て国家が管理している。
しかし、これらは周囲の国との格差が拡大すればするほど、国の衰退を如実に表し
一介の国民はさておき、特定の地位を確保した者でも焦燥感を抱かざる得ないのが実情だろう。
この様子はロシアがまるで同じ状況を抱えているのだが
対して中国は民間企業の成長を促し、共産党とは名ばかりの民主主義の利点を十分に得ている。

しかし、北朝鮮の場合はそうはいかない。
親子三代続いた政権を投げ出す事も出来ず、そこに執着しなければ生き残れない。
仮に、金一族が政権を投げ出せば、外資が入り込み民主化しやすい環境が整うだろう。
だが金一族の国民に対する悪行が消えるわけではないので、
いずれ落ち着いた頃に一族は全員、逮捕され処刑されるのは目に見えている。
そこから逃げるには、強権を維持し続けるしかないわけだ。

されど経済政策が地理的条件下で円滑に行えない為、財政は常に不安定であり、
外貨を経常として得られるわけでもなく、短絡的に逼迫しやすい環境が有ると言える。
それらの条件を満たすために兵器開発、特に核開発が行われたのは明らかである。

かつて、1960年代からロシアが行ってきた軍事産業を真似ただけの話。
でも、世界の軍事産業ははるか彼方の先進技術を用い、通常の軍事産業では到底追いつけないので
最終地点となる核兵器の開発を選択したと言える。

ここで重要なのは、反米を掲げている国々の全てが核開発が出来るわけではないし、
その土壌も人材も確保できない上に、国連やIAEAなどの監視が有るので、
迂闊に手が出せないのが実情である。
でも、抑止力として兵器が欲しいと思う国は多いだろう。
それなら出来る国に開発を委託する事を選択する事で、
国連をはじめIAEAなどから監視からも逃れる事が出来る道を選ぶだろう。
そんな中で、お金を出すだけでいずれ核はダメでもそれ以外の兵器が手に入る
というセールスポイントを見せる事で、外貨を獲得するチャンスが有ったわけだ。
しかし、その核兵器の開発過程をアピールする事に躍起になり過ぎて
アメリカをはじめ世界中から目を付けられた結果、国連で制裁決議が下され
外資獲得のためのパイプラインを凍結されてしまった・・・かのように見えるが

実は、ここに北朝鮮の経済戦略の本質が潜んでいる。
自らを崖っぷちに追い込む事で危機感を煽り、そこでいきなり180度反転し軟化姿勢
最終的に核を放棄する事を前提に外資を要求し自国経済の立て直しが可能となるだろう。
これは「背水の陣」と言っても過言ではない。

更にそこに緩衝材として韓国が関与して来る。
韓国側にしてみれば、平昌五輪の終わりと共に一定の経済低迷が発生するのは明らかなので
失業率などをきっかけとして大統領の地位を脅かす材料になるのは確実だろう。
しかし、そこで北朝鮮を利用し、朝鮮戦争の終結というお題目を建て
更には南北統一ともなれば、国民の目は経済よりも北朝鮮を意識せざる得ない。
そればかりか、本当に統一が行われるのであれば経済活性が見込めるので外資の流入が得られる事になる。
またこれらの計画が成功すれば、韓国の大統領の株は上がり、
少なくとも歴代大統領のように投獄される事も回避可能かもしれない。
まさに「苦肉の策」と言える。

つまり、南北は利害が一致しているからこそ南北会談が成り立ったわけだ。
おそらく、ここまでの流れは北朝鮮は読んでいたし計画の内だと思うし
韓国の大統領も内通し密約を用いこの計略に参加していると言っていい。

そして重要なのは兵器開発アピールに踊らされ、
出資していた国々は、北朝鮮が核を放棄した時点で全ての出資が無駄になるので
何の見返りもないままタダでお金を上げていたという結果になる。

北朝鮮は段階的戦略を十分に理解していると思う。
この辺りはかなり綿密な計画を用いているだろう。
前回書いた記事では、実験場の公開という話だが
最初から核物質の保管場所や濃縮プラントを公開すると言い出すと駆け引きにはならない。
なので段階的に開示、公開する事で世界の目を北朝鮮に向け続けさせておく必要があるし
核を放棄するにも相応の予算が計上されるので、その予算に上乗せした額が世界に提示され
国内経済の立て直しに利用されると思う。

ただし問題なのは、その予算を何処から引っ張って来るかである。
韓国の財源だけではおよそ賄いきれないし、アメリカが率先してお金を出すとは思えないので
国連決議などを用い、各国から予算を引き出す算段が行われる事になり
日本からも引き出そうと企んでいると思った方が良い。
おそらく日本政府もこの辺りは織り込み済みだと思う。

また、世界の情勢や北朝鮮に対する姿勢次第では
核を放棄する事を取り止める可能性も有るので要注意である。


結論
朝鮮半島の2国だけの資本力では核廃棄の費用も、統一する費用を捻出できない。
故に他国に資本に依存する事を最初から計画していると考えた方が妥当である。
つまるところお金が欲しいわけだ。
一番負担が大きくなるのは中朝条約が有るのでおそらく中国になるだろうと思う。


そして要点としてはもう一つ。
中国は北朝鮮を支配下に置きたがっていた。
特に習近平主席はその為の根回しを行っていたが、北朝鮮に拒絶された可能性が高い。
それらの中朝の政治的背景が、
これまでの北朝鮮の一連の行動を引き起こす材料になっていたかもしれない。
朝鮮人は無駄にプライドが高く、他国に支配される事を酷く嫌がる傾向が有る。
かつて清国に支配される事を避けていたし、日本に統治された事すら否定している。
その結果として支配されるくらいなら
南北統一で国家を維持する事を目指した可能性も十分にある。

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# by zner | 2018-05-16 00:49 | Comments(2)  

北朝鮮関連のYahooの記事とそのコメント欄

北朝鮮、核実験場を来月閉鎖=外国メディアに公開へ 時事通信社

金正恩氏、南北会談で核実験場の閉鎖を示唆 米韓専門家の招待も AFP

この記事で書いているのは「核実験場」を閉鎖する事と米韓の核専門家を招き、
その場を公開するとしているだけである事が重要な要素となる。

核関連についておおよその知識を持つ、あるいは知恵の働く人なら直ぐに判る事なのだが
核実験場は最終到達地点であり、
放射性物質であるウランやプルトニウム等を保管している場所ではない。
更に、核兵器にするのは、濃縮作業が必要になるので、濃縮用のプラントが必要になり
保管用の貯蔵庫と濃縮プラントが核実験場に併設される事は無い。
なぜなら実験に失敗し暴走した際に、貯蔵庫と濃縮プラント諸共、核分裂反応を引き起こし
ただの核爆発程度では済まされないので、
通常はおよそ実験場より遠方に貯蔵されるのが常識であるし
濃縮プラントもかなり遠方に位置しているはずである。

北朝鮮が核を放棄する気が有るのであれば
貯蔵庫と濃縮プラントも公開し、それを閉鎖、解体するのが筋である。
ところが、その重要施設を公開しないとなれば、
つまり、この記事は北朝鮮が核を放棄する気が無い事を証明している事になるわけです。

そもそも実験場って、貯蔵庫やプラントの様な物ではなく、地下を掘っただけの場所です。


リンクの2つの記事のYahooのコメント中には
上記の事を理解している人は数名いらっしゃいます。
そして大半の人たちは過去の例を見て、北朝鮮を全く信用していないというだけで
大半の人たちは、実験場を公開する事が非核化になると思い込んでいるようで
上記のように貯蔵庫とプラントが別にある事を知らずに
無知蒙昧にも、これで解決したと思い込んでいる人も居ます。
呆れますねw

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# by zner | 2018-04-29 12:55 | NEWS | Comments(2)  

南北会談についてちょっとだけ

今日、朝鮮半島の南北が会談を行ったが

まず単純に判り易いのは、韓国側の意図として
平昌五輪が終わり、特定の経済活動が停止した事に拠り失業者が出る事に拠る社会的不満が
大統領の立場を悪化させる要因になる。
そこで、大統領としての価値を継続させる為に北朝鮮との問題へとシフトする事で動き出した。
もちろんこの背景には、おそらく北朝鮮と韓国はかなり以前から今日のこの着地点に付いて
水面下で交渉を続けていた可能性が有るし
同時に文大統領が大統領選で勝利する事も前提となっていただろう。
つまり、大統領選は意図的に操作されていた事も考えられる。

そして北朝鮮側の意図としては、国家の経済政策として国営で適度な産業を起こしているようだが
国費が潤うほどではなく、財政事情はかなり致命的な状況だと思われるので、
当初から予定されていた韓国の財源を活用する方向性にシフトしたと思われる。

そう、北朝鮮は最初から韓国の資産を目当てにしていたと考えた方が判り易い
そればかりか韓国のKOSPIを見れば判るように、
五輪後でも下落せずに外資による投資が増えている。
政府系ファンドが動いている話は既にニュースでも出ているように
韓国にある外資は北朝鮮へと繋がる仕組みが存在していると見れば良いだろう。

地政学というより経済学として見るとアジア圏の経済は日本、中国、韓国の3つに絞られている。
北朝鮮にとってこの3国の中から資産を獲得するには、韓国が一番楽である。
韓国にある外資もそこが狙いだと思われる。

そして北朝鮮と韓国の両首脳にとってはこれが一番利害が一致する結果となる。
問題は、日米、中露がこの先どのように北朝鮮と韓国を扱うのか?だろうと思う。

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# by zner | 2018-04-27 21:13 | NEWS | Comments(2)